2022.9月号

 「三日先知れば長者」

 

 8月のこの時期になると、太平洋戦争にまつわるドキュメンタリー番組が連日放送されています。日本に生まれ育ったものとして、やはり太平洋戦争についてはある程度の知識と理解を得ておくべきと思うので、なるべく見るようにしていますが、戦後77年が経過し、戦争を経験した人達は急激に減っており、数年後には確実にいなくなってしまうと考えると、先の戦争を過去のものとして忘れてしまうのではないかと心配になってきます。

 ウクライナのように相手から一方的に戦争を仕掛けられ、否応なく戦火に巻き込まれてしまうのもまた心配な話ですが、今や世界は驚くほどわかりやすく二分化されてしまい「平和」という言葉がこれほど、虚しい響きを持つ時代がくるとは、この現代に思いもしませんでした。

 第二次世界大戦以降77年間戦争をしなかった国は、諸説ありますが国連加盟国193カ国中、アイスランド、フィンランド、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク、スイス、ブータン、そして日本のわずか8カ国だけと言います。そして、この8カ国中5カ国は北欧の国となりますが、ロシアのウクライナ侵攻から、この北欧諸国もかつてない緊張状態となっており、中立というポジションで平和を保つことは難しくなったため、NATOつまりは西側の軍事同盟に加盟を目指すことで、ウクライナの次は北欧とまた新たな緊張が生まれつつあります。

 日本もロシア、中国、北朝鮮、台湾、韓国という近隣国があり、エネルギーを輸入に頼る日本では海上輸送の安全上、遠くない将来には一方的な武力紛争に巻き込まれる可能性は我々日本人が考えているよりもはるかに大きいのではないかと思います。

 一地方の油屋が世界情勢を話しても、何も変わりはしませんが、今や世界は小麦の一粒もグローバルで動いており、地球の裏で起こった出来事もすぐに情報が反映される時代になりました。

 コロナ禍の大混乱が落ち着かないうちに、第三次世界大戦の危機が迫っている中、「三日先知れば長者」三日後のことがわかれば大金持ちになれると言う諺ですが、時代の変化、想定外の出来事が多く、3日どころか明日も読めない状況になってきており、この状況を予想できる人がいるのか分かりませんが、今は先を見ず悲観せずで、目の前のことに一生懸命に取り組む時期なのかもしれません。

                                             魚谷 直世 記

 

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