2022.4月号

 

 「宇宙会議」

 

 話題の絶えなかった北京オリンピックも閉会しましたが、これを待っていたかのように先月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始しました。米国バイデン大統領はウクライナには派兵しないで、経済制裁により応酬すると宣言しており、軍事機構NATOも非加盟国のウクライナを防衛する義務はないと、孤独な戦いを強いられたウクライナ国民の恐怖と絶望は察するに余りです。

 双方に言い分があり、どちらが正義、どちらが悪ということは語れないと思いますが、日本、特に北方領土隣接地域である根室にとってこの戦争は対岸の火事ではなく、我々の生活にも直結する大きな問題です。

 経済制裁は「金融版の核兵器」とも言われている国際銀行間通信協会(SWIFT)の決済網からロシアを排除すると言われており、この制裁が始まるとロシアは国際的な取引が絶たれ、兵糧攻めの状態となり、戦争継続には多大なお金がかかる為、長期化によってデフォルト(債務不履行)の可能性さえ出てきます。このSWIFT排除の前例としては2012年、核開発計画を巡ってイランに対して制裁を発動したことがあり、これによってイランは石油輸出収入の約半分、貿易の3割を失ってしまい、交渉のテーブルに着かざるを得なくなったため2015年に非核化の合意に至ったとされています。

 とはいえ、SWIFT排除は諸刃の剣で、ロシアからドイツ、イタリアでは約半分、チェコやハンガリーではほぼ全ての天然ガスを輸入しているため、この輸入が途絶えた場合、クリーンエネルギー発電と言われている天然ガス発電が出来なくなるため、今のところ制裁発動に至っていないとのことです。

 仮に米国が発電不足分の燃料供給を担うとすれば、化石燃料のシェールガスを大量に増産することになり、脱炭素を目指す欧米にとって今までの政策とは真逆の結果となってしまうために制裁の実現は限定的とも予想されていますが、各国の利権争いで世界は混迷を極めており、このままでは最悪の事態も予想されます。

 昨年、宇宙から帰還した前沢友作氏が「世界中の偉い人たちが宇宙に行って、地球を見ながら国際会議みたいなことをしたら平和になると思った」とツイートしていましたが、各国の首脳は一度頭を冷やし宇宙で国際会議をし、地球の小ささを一度、自分の目で見た方がいいのかもしれません。

                                             魚谷 直世 記

今回の店主雑感のご意見、ご感想等お願いいたします。

コメント: 0