2022.12月号

 10年」

 

 私がこの家業雑感を引継ぎ、最初に書き始めたのが10年前の201212月号で、何と今月号で10120回も書き続けてしまいました。読者からの強烈な支持を得たわけでもなく、会社から高額の原稿料を頂いているわけでもなく、10年続けてこられたのは、皆様のお蔭です…は建前で「なんとなく」というのが正直な感想です。

 文章を書くのが好きかと言われれば、決してそんなことはなく、小学校の頃は読書感想文をいつも最後まで提出できなかったタイプで、むしろ大の苦手でした。今でもこの雑感の締切り日が近づくと憂鬱な気分で迎え、パソコンの前でイライラしている姿に妻は「そんな嫌なら止めればいいんでしょ」と励ましてくれます。

 10年ひと昔とはいいますが、会社としては大きな決断をし、個人的には様々なことがあり、あっという間の10年間、気力体力は変わっていないと思っていても、体重は15kg以上増加…一年1.5kgペースなので、このまま後15年もすれば100kgの大台が見えてくるため、最近では糖質ダイエットに励む毎日です。

 しかし、10年前の自分の文章を見るというのは面白いもので、初めて書いた家業雑感のタイトルが「イノベーション(革新)」とタイトルからもその当時の自分が何を思い、何を考えていたのかが見えてきますし、若さ溢れる勢いのある文章に青臭いと思いつつも、勇気づけられることがあります。

 年を重ねるごとに一日や一年が速いと感じるのは「ジャネーの法則」というのがあり、5歳にとって一年は人生の5分の一、50歳にとって一年は人生の50分の一、同じ一年でも10倍の違いがあるというものですが、その差は新しいことを経験するか、しないかの差だと思います。

 人は成功体験から昨年と同じこと、周りと同じことをしたがりますが、これだけ環境が変化する中で同じことをするというのは、気づかないうちに時代から乗り遅れてしまうことになります。「一生感動、一生青春。青春とは肉体的なものでなく、精神的なもの。明るい希望や夢があれば、いつでも青春でいられる」モスバーガーを創業した、櫻田 彗氏の言葉ですが、いつもの通り道、いつもの仕事、いつもの休み、この「いつもの」を少しだけ変える勇気があれば、また違った発見があり、新たな青春が始まるということだと思います。「いつもの」を少し変えていきたいですね。

                                             魚谷 直世 記

 

今回の店主雑感のご意見、ご感想等お願いいたします。

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