2022.5月号

 EV車はエコかエゴか」

 

 最近何かと話題になることが多いEV(電気自動車)ですが、経済産業省は商業施設やマンション、駐車場等に急速充電器設置の補助を拡大し2030年までに充電設備を15万基設置する方針を発表しました。

 この急速充電器、日本では増えるどころか、近年は設備の老朽化によって減少しており、欧州や中国と比べてずいぶん進みが遅い印象を受けますが、ロシアのウクライナ侵攻から原油価格は急上昇したため、石油依存の危機感が高まっているためと思われます。

 しかし、日本の発電は原子力発電所が停止しているため、総発電量の7割から8割が火力発電所と主力を担っており、もしも国内の自動車を全てEV化した場合、現在の発電能力を10%~15%増やさなければならず、火力発電所でこの電力量を補えば、CO2排出量は送電ロスもあるため、EV車の推進によって逆に増えるとの試算もあります。

 CO2を出さないクリーン発電?と言われる原子力発電所も、この電力を賄うとすれば10基分を再稼働することになると言われており「2050年にカーボンニュートラル」と宣言はしたものの、原子力発電所については「再稼働」なのか「廃炉」なのか、いまだ議論さえ進まず「クサイものには蓋」状態が続いているため、何のためのEV車推進なのか目的をすでに見失っており、EV車を推進することだけが目的になっています。

 更にはウクライナへの侵攻によりEV車の心臓部であるバッテリーに使用するレアメタルが高騰しており、ニッケルとアルミニウムの価格が最大生産国のロシアからの輸出が途絶するのではないかとの憶測から過去最高値を更新しており、半導体の製造には欠かせない希少資源ネオンは世界生産の70%近くをウクライナで算出されているため、こちらも高騰中。もはやEV車を低価格で普及させるのは当面不可能との予想が出ておりEV車は更に高級車となります。

 今までは、充電インフラが整備されていないため、EV車が普及しないと言われていましたが、これから数年で充電設備は沢山あるが、EV車をあまり見ないという事態にもなるかもしれません。

 小手先だけの政策は、その時だけは良いのかもしれませんが、日本の10年後、未来を思うならば、様々な主張に議論しながらも、目標に進んでいくのが政治の正しい道ではないかと思いますが…

                                             魚谷 直世 記

 

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