2021.1月号

 「環境対策?」

 

 「2030年代半ばに新車販売からガソリン車をなくす」このような政府目標を国が検討していることが、ニュースとなりました。菅総理大臣が2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするという考えを示したことがきっかけで、およそ15年後にはすべての新車をハイブリッド車や電気自動車といった「電動車」にするという高い目標です。

 まだまだガソリン車が多く、軽自動車も普及している日本「脱ガソリン車」は本当に実現するのでしょうか。欧米各国、中国までがガソリン車販売禁止を発表した中で、日本も先進国として追随しなければならないのかもしれませんが、この目標の実現には多くの問題があるように感じています。

 特に電気自動車が増えていくのに伴い、その電力をどのように供給するのかが問題で、今日本にある車を全て電動にした場合、日本全体の消費電力量は10%程度増加すると試算されており、現在の日本の発電は77%が火力発電に頼っているため、この電力増加分を火力発電で賄うと二酸化炭素の排出量が逆に増え本末転倒な結果となってしまいます。水力発電は日本での設置場所に限界が見えており、太陽光発電や風力発電はまだまだ少量で不安定、唯一残る脱炭素の発電所は「原子力発電所」となりますが、東日本大震災より原発アレルギーとも言われる状態になっている日本ははたして、環境対策?のために原子力発電所を再稼働、増設を許すことができるのかは難しい問題です。

 電気自動車本体にもリチウムイオン電池の充電時間、寿命の問題、高価格化等の問題があり、世界の自動車生産国が一気に電動自動車を作った場合、電池に使われるレアメタルの争奪合戦になることが予想され、新たな環境破壊や中東のような紛争地ができる可能性が考えられます。

 耳障りのいい「環境対策」という言葉は裏を返すと、先進国と大企業によって描かれた都合のよい幻想なのかもしれません。2030年までは後10年、インフラの大転換をするにはあまり本気度が見えてきませんが、コロナの影響もあり、世の中がガラリと変わる10年となると思いますが、11日の積み重ねが1年となり10年となります、本年は色々とあった一年でしたが、出会った多くの皆様に改めて感謝し、新たな2021年もご指導ご鞭撻の程、宜しくお願いいたします。

                                             魚谷 直世 記

 

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