2021.11月号

 「無人か外人か」

 

 先日のニュースで、イギリスではトラック運転手不足に伴う混乱が続いており、食料からクリスマスプレゼントまであらゆるものの値段が上がっているそうで、ガソリンスタンドに燃料を運ぶタンクローリーの運転手も不足していることから、ガソリンスタンドの半数近くは、販売できる燃料がない状況です。

 この原因としてはイギリスのEU離脱の影響が大きく、EUの移民が帰国することで、移民の就労割合が高かったトラックドライバーが激減し10万人余りが不足しているためで、住民は燃料を確保しようとパニック買いが始まったことから、ガソリンスタンドは連日の行列によって、更に在庫状況を悪化させる結果となりました。

 イギリス政府も急遽、外国人ドライバーに一時ビザを発給する等していますが、全てが正常化するのはまだ時間がかかりそうです。イギリスでは物流、建設、介護、飲食、小売等のエッセンシャルワーカー(生活基盤を守る仕事に従事する人)は移民である外国人労働者が担っている割合が高く、EU離脱からのこの流れは必然とも言えますが、この混乱を収める解決方法は見つかっていません。

 遠いイギリスのお話と感じるかもしれませんが、日本でも物流業界は同様の現象が起こっており、ネットショップからの買い物が当たり前となりトラックドライバーの需要は増える中、拘束時間が長いと若者たちに敬遠され、高齢化が急速に進んでいるため、国内物流の9割を担っているトラック輸送は、近い将来に20万人のトラックドライバーが不足し、あらゆるライフラインに影響すると言われています。

 根室でも水産加工会社では色々な国の人達が働いており、もはや彼らの活躍無くして根室の経済は考えられませんが、今はまだ外国人が就労できる職業は制限されています。しかし、今後は様々な職業で外国人労働者が働いてもらわなければ日本、特に都会から離れた地方は物流、建設、介護、飲食、小売等は人手不足によって運営すらできなくなるのは確実な状況で、この数年で世の中の状況は大きく変化するのでしょう。

 外国人労働者への依存度が高まるのは賛否あるかもしれませんが、今までと同じ金額で同じサービスというのは、もう戻ってくることはなく、無人のお店か、外国人のお店かの二択という時代ももうすぐ。それはそれで面白いのかもしれませんが。

                                             魚谷 直世 記

 

今回の店主雑感のご意見、ご感想等お願いいたします。

コメント: 0