2014.8月号

「デフレの終焉」

 

 先日、根室での就職を希望する高校生を対象とした合同説明会に参加しました。昨年は過去十年で一番多い求人数になる等、求人倍率は上昇傾向にあり、本年は就職者が少ないとの見通しから、例年よりも企業側の参加が多く、青少年センター体育館で説明会を行ったのは初めてです。一昔前までは、無味乾燥の人事担当者が一方的に話をするばかりでしたが、現在はモニターでのPV演出はもちろん、制服でのアピールや各種装飾等々、学生誘致にも趣向をこらしており時代の変化を感じることが出来ます。

 先日、NHKの放送で、流通の神様とも言われるセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が、20年近く続いてきた低価格競争からの脱却を宣言していました。鈴木会長いわく「安さの追及ではなくて、質の追及にしなさい、質をいいものにしなさい。仮に価格が多少上がってもいいじゃないか。価値の追及になれば、結果として低価格競争から脱していけるのではないか」実際にシンクタンクが消費者意識を調べたところ「とにかく安いものを買う」と回答したのは29パーセントで、それを上回る40パーセントの人が、「価格に見合った品質のものを買う」と回答しているそうで、セブンイレブンに行くと「金」シリーズを始めとした高品質路線へのシフトを身近に感じることができます。いわいるデフレと言われ、日に日にどんどんモノが安くなっていた今までの時代ですが、デフレの象徴とも言われたマクドナルドの大幅減益のニュースからも消費者の意識がシフトし一つの時代が終わり、新しい時代が来ているのを実感することが出来ます。

 「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるでもない。唯一生き残るのは、変化できる者である。」自然科学者チャールズ・ダーウィンの言葉で小泉元首相の所信表明演説でも使われた有名なこの言葉は、動物だけではなく企業にも共通して言えることです。「安かろう悪かろう」とは商売する上で最も避けるべきことを、今までは時代が許してきましたが、これからの時代、変化しなければ、その企業は生き抜くことは難しいでしょう。それと同じぐらい私の体系も変化を止めることは難しいでしょう。

 

                                             魚谷 直世 記