2014.10月号

「想定外」

 

 近年、天候に異変がおきています。ここ数カ月のニュースでも、広島県の土砂災害では多くの命が失われ、我々の住む北海道でも礼文島では大雨により土砂崩れが発生し、中心都市である札幌市においても過去に例のない大雨特別警報の発令により88万人に避難勧告が出るなど、近年の自然災害がいかに「想定外」であり、人間には太刀打ち出来ない威力を持っているというのを改めて知らされる結果となりました。

 ニュースでは人的被害があった場合は「行政の避難指示が遅い」「無理な宅地造成のせい」等々、人為的災害として報道されることが多いですが、1時間のうちに数百mmの雨が降るという対策などはしてはいないでしょうし、例え対策案があったとしても、それに対応する防災インフラを日本各地に作るというのは現実的ではないかと思います。これらの異常気象は日本のみではなく、世界各地でも発生しており、ハリケーンや台風等の被害は年々増加しています。これら原因と言われているのが海洋深層部の水温上昇と言われており、偏西風や低気圧の発達に一定のブレーキをかけていた海洋深層部の冷たい水が、地球温暖化の影響により十分に働かなくなっているためと言われています。

 この地球温暖化は「人が作りだす二酸化炭素のせい」や「地球の周期的なもの」等で諸説あり、科学的な証明はされていないのですが「地球温暖化のせいで異常気象」と言われると、二酸化炭素排出の元を売っている我々としては心に若干の痛みを感じます。いずれにしても数百年かかり暖められた海水が、数年で元に戻るわけはなく、十年単位で見るならば更に海水温度が上昇し、自然災害はこれから益々増加し規模も大きくなる可能性の方が大きいと考えられます。これら想定外の災害から身を守るには、行政機関に頼りきるのではなく、「自主防災」や「共助」といった災害に対する意識がより重要となってくるのではないでしょうか。

                                             魚谷 直世 記