2014.3月号

「制服好き」

 

 競馬の騎手がレース時に着る上着を勝負服といいます。従来の常識を破り革新的な万能細胞「STAP細胞」を開発した小保方晴子さんにとっての勝負服は祖母からプレゼントされた、日曜日の定番サザエさんでしか見ないあの「割烹着」だそうです。常に実験中は着用し、家族の応援を感じながら研究し、歴史に残るすばらしい結果を出しました。

 我々の勝負服といえば背中に大きく「ENEOS」と入ったあの制服です「火気厳禁」の商売柄、静電気を発生させにくい加工がされており、火花を発生させないよう金属は使われておらず、お客様の車にキズつけないよう硬質部分はすべて布で覆われており、非常に機能的で完璧な制服ですがデザインがイマイチというのが「ENEOS」らしいのです。

 「制服が大好きです!」おじさんの私が真顔で話すとちょっと危ない感じがしますが、保守的で組織性が強いといわれる我々日本人は皆、制服が好きなようで「警察官」「消防士」「看護師」「パイロット」等々の子供が憧れる職業として上げられる職業には制服職が多い傾向にあります。この組織内での制服の役割とは仲間意識を構築し、共通の目的を達成させるためには有効なツールと言われており、公共の制服にはある基準や資格を有していることへの責任感を自覚させる役割があるとも言われています。

 一時期流行になりました学生服の廃止、服装自由化への流れは、学生服を廃止した途端に受験者数が減少するという事例もあり、今は逆の流れで制服制度を再導入する学校が増えているといいます。又、今日本の学生服は海外でも見直されており、米国の高校では学生服を導入したところ、生徒間の貧富格差意識が薄れ、モラルが向上したとの結果もでています。近年、日本のアニメが海外でも受け入れられている影響か学生服はファッションとしても「カワイイ」と評価が高く「クールジャパン」にも一役買っているのではないでしょうか。

 このように、これから時代、我々の制服も機能性だけを追い求めるのではなく、お客様を癒せる「カワイイ」の要素を入れようかと思っていましたが、消防に注意されるのでやめておきます。火気厳禁のガソリンスタンドは「萌える」ものは厳禁ですので。

                                             魚谷 直世 記