2019.5月号

 「イチロー引退」

 

 この家業雑感でも何度か話題にさせて頂きましたメジャーリーグのイチロー選手、先月会見が開かれ、ついに引退宣言を出しました。日米通算4,367本安打、その中でも2004年には262安打を放ちメジャーの記録を84年ぶりに更新し、5年連続最多安打、10年連続200本安打もメジャー記録と野球に関心のない方もいると思いますが、とにかくすごい記録を出した日本が世界に誇る偉大な選手です。

 引退会見を見ていた方も多いかと思いますが、イチロー選手の野球に取り組む姿勢は人々に強い感銘を与えており、私もその一人となります。中でも私の好きなのはイチロー選手が主催する少年野球大会の中、子供達に送った言葉で「自分が出来ると思ったことが必ず出来るとは限らない。ただ、出来ないと思ったことは絶対に出来ないことを覚えておいてほしい。自分の中で自分の可能性を決めないで下さい」たとえ小学生が相手でも「夢は必ず叶う」などと無責任なことを言わないところがイチロー選手らしく、子供だけでなく、大人にも励みを与える言葉だと思います。

 我々人間は年を重ねてゆくにつれ、現実の厳しさを知り、多くの失望や落胆を味わうことになります。しかし、そこで絶望せず、可能性を追い求めることで、満足感や達成感を得て次のステップに臨んでいくのだと思います。いかにイチロー選手が素晴らしくても、一度の打席で2本のヒットを打つことはできません。一打席、一打席全力で取り組み、記録を一つ一つ積み重ねてゆく。こうしてイチロー選手は数々の記録を残してきました。

 我々が過ごす毎日も同じで、一日一日は単調な日々なのかもしれません。しかし、その一日を大事に出来ない人にチャンスは巡っては来ないのだと思います。どんな人にもいつかは節目や終わりを迎える日はやってきますが、問題はその時を悔いなく迎えることができるのかが、大切だということをイチロー選手からは教えて貰いました。

 私自身も40歳を超えて人生の半分を折り返しましたが、これを「もう半分過ぎた」と考えるのか「まだ半分だと」考えるのかで、これからの人生半分は大きく変わってくると思います。これから自分をどのように変化させていくのかはまだまだ決まっておらず、成長中だと思っていますが、1%でもいい、昨日の自分を超えていけば未来は明るい。

                                            魚谷 直世 記

 

今回の店主雑感のご意見、ご感想等お願いいたします。

コメント: 0