2012年5月号

つけとつけ回し

 紫の帽子を被らされ、渋々と古希の祝いをしてもらった。意識をするなと言っても日本の信用できる統計を見ると我が年齢の現在地がわかる。しかし本当は自分だけは例外になるかもしれない錯覚を抱いている。凡人とはこんなものだろう。現在で65歳以上人口が21%以上の超高齢社会に突入している日本です。先ごろ国立社会保障・人口問題研究所が公表した将来人口推計では今後も高齢者の割合は増加を続け国民の4割が65歳以上という超・超高齢社会に2060年時点で達するという。そして、平均寿命は、まだどの位伸びるかというと、2060年には男性84歳、女性はなんと91歳に達する予測が出ている。4~5才伸びるわけである。全国平均でこのようになるわけだから地方では、もっと過酷な統計がでる可能性が大。では、介護などに頼らず、病気やケガにならない日常生活をおくれる「健康寿命」という言葉があり、日本は女で78歳、男は73歳であり、この項目も世界一とのことです。今、国会で議論している年金、消費税のことも、国会議員の在職中だけの短期の話しで中長期の展望なき無責任のツケは後回しで払ってくれのスタイルのようである。腹いせにこんな国に誰がしたと石つぶてがバッチをつけた方に投げられる時代が来なければ幸いである。もちろん、選んだ国民に責任があるのだから、つらいところである。歴史から学べといえど、「ローマ人の物語」の塩野七生氏に言わせると、苦い良薬と過酷な試練は甘い言葉の後でしか出てこない。多分、グローバルに地球を一つの国に例えるなら、日本の戦国時代のように、経済的、人口的、領土的に優位に立つ島(国)が弱い国を犠牲にして今のある豊かな国を維持していくのだろう。一番惨めなのは強い国が弱くなった時に国民が我慢・辛抱できるかというと、胸に手を当ててみても、かなりしんどいことである。悲観論、楽観論を言っているうちに、当方は統計の終わりのサインが見え始めている。それではいくらか無責任だろうという声が聞こえるが・・・すべては棚上げとつけ回しで事は進んでいる気がしてならない。人間様は都合の良いように出きている。

(魚谷 直孝記)