2019.12月号

 「一夜城」

 

 先月31日未明に沖縄の首里城で火災が発生したとのニュースが入りました。行ったことはありませんでしたが、色鮮やかな宮殿が、炎に包まれながら焼け落ちていく姿は沖縄県民ではなくともひどく悲しい気持ちになりました。

 戦災により焼失し、1980年代に復元が開始、20191月に完成したばかりの城とはいえ、建物の中には多くの貴重な文化財が収納されていたため、2000年には世界遺産に登録され、今はあまり見ませんが、2千円札の絵柄にもなった沖縄のシンボルで、日本城郭協会が定める日本の100名城にも入っていました。

 1番から100番まで番号分けされている城の中で、首里城は100番目の城となっており、ご存知の方は多いかもしれませんが、根室にある「チャシ跡群」も100名城に定められており、その番号はなんと1番目。根室のチャシ跡群から日本の城は始まり、沖縄の首里城で終わりとなる100名城ですが、実は根室の人はあまり行ったことがないチャシ跡群です。

 お城好きの方からは注目を集める100名城ですが、2006年に認定されるまで公的な誘致活動はしていなかったらしく、突然100名城に選ばれ、スタンプが届いたため、根室の関係者は「1日にして根室に城が出来た」と豊臣秀吉の一夜城なみに驚いたとのことです。

 このチャシ跡群ですが色々な事情があり詳しい調査はまだされていないため、どのような建造物があったのか、どのように使われていたのかはまだ解明されていないという、謎の城?ですが、そのミステリアスな歴史もうけてか、交通アクセスが悪いため100名城中最難関の場所とも言われていますが、いまだに観光客が絶えない人気の観光スポットとなっております。まだ行ったことがないという方は話のネタにもぜひ半島ドライブがてら一度訪れてみて下さい。

 さて、前述した首里城の火災ですが今回を除き焼失したのは1453年、1660年、1709年、1945年と歴史上4度の焼失を経験しておりますが、その都度再建を果たしてきた歴史があります。焼失前の首里城にかかった総事業費は19862018年の33年間で約240億円と言われ、同程度の時間とコストをかけるべきか今後の議論となるところでしょうが、沖縄の歴史的シンボル、ぜひ再建をしてほしいところです。火災が多い季節、我々も火の元、気をつけましょう。

                                             魚谷 直世 記

 

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