2018.4月号
「そだねー 」
金メダル4個、銀メダル5個、銅メダル4個と過去最高13個のメダルを獲得したピョンチャンオリンピックが閉幕し、ようやくテレビを気にしなくていい生活が戻ってきました。今回は冬季ということで北海道に縁のある選手も多く、見どころ盛り沢山でしたが、特に同じ道東の常呂町を拠点とするカーリング女子チームには多くの感動と興奮を貰い、更に「モグモグタイム」での地域銘菓アピールや、我々も方言とは知らずに使っていた北海道弁がカワイイ等々、終始メディアの注目を集めることで北海道を全国にアピールしてくれたと思います。
マイナースポーツから一気に注目を集めたこのカーリングですが日本での歴史は意外と新しく、本格的に広まったのが1980年代にカナダの親善団体が池田町でカーリング講習会を行ったのが始まりとも言われ、その講習会に参加していた常呂町の小栗祐治さんという方が地元に帰り、町内で熱心に普及したと言われています。
当初は正式な道具が揃えることが出来なかったため、ストーンはビヤ樽やプロパンガスボンベを自ら溶接して改造し、ブラシは竹ほうきで代用する等々、試行錯誤を繰り返していたと言います。しかし、人口約5,000人と大きな街とは言えない常呂町ですが、今や世界最高水準となる大規模カーリング場があり、中学生以上のカーリングチーム数も40チーム以上と選手層も厚く、日本女子チームも5人中4人が常呂町出身とまさにカーリングの街として世界に常呂町の名を響かせました。
常呂町に凱旋した際にチームの吉田知那美選手は「小さい時はこの町にいても絶対に夢は叶わないと思っていました。だけど今は、ここにいなかったら夢は叶わなかったと思っています」と涙を拭っていました。
少子高齢化や過疎化が進む中、北海道の札幌市以外の市町村はこれから更に厳しい現実が待っています。しかし、そこに絶望し現実から逃げるのではなく、立ち向かい夢を実現することが出来たのは、同じ地方に住む我々にとっても多くの勇気を貰い、今回の銅メダルは我々にとって金メダル以上の価値があったのではないかと思います。故郷がある、帰って来られる街があるというのはすばらしいことです。悪いニュースが続き、明るいとは言えない根室ですが、帰って来る人達のためにも守っていきたいですね。
魚谷 直世 記
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