2018.10月号
「商人の矜持 」
9月6日未明に発生しました、北海道胆振東部地震にて被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
この地震の影響で北海道各地の発電所が運転を停止し、全道295万戸が停電と言う未曽有の大停電となり、照明やボイラー、冷蔵庫、パソコン、そしてガソリンを販売する計量機、これらは全て電気がなければ、ただの箱となり、いかに普段の生活が電気に頼ったものなのか思い知らされる結果となりました。
我々も普段からこのような事態を想定し災害訓練等は行っていますが、想定外の部分も多くあり、いい教訓となりました。しかし、ここまでガソリンを求めるお客様がいるとは考えておらず、当日は朝5時頃から緊急発電機を整備し、朝6時より社員総出で緊急車両から給油を開始しましたが、その流れは一向に途切れることなく一番のピークで、西浜店よりも1km近くの渋滞を作ってしまい、在庫の関係から普段よりも早く店を閉めてしまうことになりました。
給油には様々な理由で来られた方がいましたが、その中でもスマホを充電するために給油しておくと言った方が意外とおり「現代的だな」と思った反面、やはり災害時には、テレビやラジオが聞け、冷暖房の調整も効き、プライバシーも確保しつつ、充電も出来る、車というのは良い避難所になるものだと改めて感じました。
しかし、このように便利な時代になった反面、人は重力に逆らい、風や水の力にも負けない様々な建物を作り、自然をうまく封じ込めたつもりになっていますが、それは自然の運動エネルギーとなるべきところを位置エネルギーとして蓄積させているだけであり、近年多い「想定外」といわれる大規模災害にまで発展させているのは我々人間なのかもしれません。
「天災は忘れたころにやってくる」といいますが日本各地の集中豪雨や台風被害、熊本地震や東日本大震災「天災は忘れる前にやってくる」状態が続いており、「想定」の中では災害は防げない時代となりました。根室沖の巨大地震も30年以内に80%の確率で起こると言われていますが、他人事ではなく、近々に必ず起こるものと考え、その準備は急いでしておかなければなりません。
今回の停電では、ご協力して頂きましたお客様はもちろんのこと、インフラを担う企業の矜持を見せてくれた弊社社員にも感謝の気持ちを伝えたいです。
魚谷 直世 記
今回の店主雑感のご意見、ご感想等お願いいたします。