2012.11月号

聴く力

何かの偶然の縁で出会った社員に発達してほしいと願うことの一つは「聴き方の基本が大事」と事あるごとに言い続けている。世を生きていく中で互いに意志の疎通が出来ることが相手の心を開く大条件である。心を開いてもらうには①相手の話の腰を折らない ②話を中断しない ③否定しない ④批判をしない ⑤結論を急がない ⑥説教をしない。と胸に手をあて、自問して社員達と毎日ドラマを繰り返しているのです。しかし、社員達との3K(家庭・会社・個人)+1S(社会)に関する会話が始まるやいなや、この「6つのしない」の中の2つ位をすぐに破ってしまう。4項目位を破ってしまうと、相手は沈黙を守り、聞いているふりをしているだけ、そして6項目の完全試合をすると日常の会話が無くなり、スタッフにも欲求不満が溜まり、明らかに良い結果が明日に出てこなくなります。同友会の学びの中には、社員のレベルを嘆く前に社員に敬意と感謝をもって接しているか、長所を引き出して褒めることを惜しんではいないか、自らを問い直すことですと教えられる。しかし、TOPの発達障害がすぐに出て聴く力を落とし、「何をお前こそ、そんな立派な言動をしているか」と脳停止をさせる一言を入れてしまう。企業内にも必ず、このタイプがおり、自分のことのみ主張、周りが悪い、環境が悪い。自分は優れていると子どものように主張する。それには中間の上司がどうするか迷い、悩んでいることも理解できる。何かの縁で出会った偶然を大切にして、なんとか互いに成長し合えないか時間をかけて確認をするのだが・・・。そんなこんなを言っているうちに私共の会社も9月中旬に来年3月の新卒男性1名を内定した。本心はもう一名男性が欲しいのだが、出来損ないTOPの熱を出してくれる出会いがまだない。11月まで頑張って待ってみようとの決意です。新卒採用を嫌う会社が多くなってきているのは事実ですが、会社・世間に対して、自分の評価を棚に上げて本当の厳しさを持って眺めるのは新卒です。格好悪い中小企業だが格好つけず裸でぶつかり合う若い子が育つ期待も楽しいものです。

                                              魚谷直孝