2020.6月号

 「縄文人のクシャミ」

 

 ようやく暖かくなり始め、外に出ても気持ちのいい季節になってきましたが、花粉症持ちの人にはつらい季節となってきました。私も子供の頃からアレルギー体質でシラカバや草系の花粉症を持っており、これを書いている今も目のかゆみとクシャミ、鼻水に悩まされております。年々症状は悪くなっており、最近ではリンゴや桃といったバラ科の果物を食べると口が痒くなることがあり、果物好きな私としてはつらいものがあります。

 今はいい薬もあるので、病院に行けばこの症状は大分抑えられるようですが、今はコロナ禍、少しでも医療ソースを有効に利用してもらうため…という理由ではなく、この年齢になっても注射が怖いので、病院アレルギーとなっているためです。

 比較的花粉の少ない北海道に住む我々はこの花粉症も少ないように感じますが、アレルギーの抗原は体内に蓄積されており、今まで花粉症に縁のなかった人も、突然発症することもあるようで、近年また増加傾向にあるため現代病とも言われています。

 人の構造は変わっていないのに、昔の人は花粉症にならなかったのかと言うと、実はあまりならなかったようで、琵琶湖の湖底堆積物を調べた論文では、1900年以降からスギの花粉は増え始め、戦後に急増、1900年から1990年までは花粉の量は10倍に達しているとのこと、北海道のシラカバもそうですが、戦後の大規模な植林によって木が増えることで、花粉症の人も増えていく傾向にあります。

 面白いのは現代のスギ花粉量と2000年前~3000年前のスギ花粉量は同程度で、縄文時代を生きる人々も今と同じくらいの花粉を浴びており、縄文人も花粉症に悩まされたのかと言うと、縄文人の平均寿命は15歳前後と言われており、発症前に亡くなっている可能性が高く、長寿の縄文人でも花粉は非常に小さいため土に吸収されやすくなっており、現代のコンクリートやアスファルトで舗装された路面とは違い、花粉が舞い上がることはなく、花粉症が増えるのは現代の特徴とも言えます。

 なった人にしかわからないこの花粉症、根本的に治療することは現代の医学では難しいのですが、昔の人に花粉症がいないのは寄生虫がいたからという説もあります。日頃の行いか最近毎年のようにアニサキスに当たる私としては寄生虫だけは勘弁してほしいところですが…

                                             魚谷 直世 記

 

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