2020.10月号

 「空振り改め素振り」

 

9月に上陸しました台風10号「ハイシェン」ですが「これまでに経験したことがないような」超大型台風と言われ、九州全域で180万人の避難指示が出される等で連日テレビでも話題となりましたが、台風のコースが予想よりも西寄りだったことや海水温が予想よりも低かったことなどから、懸念されていたような大きな被害は出ませんでした。

避難指示が大袈裟だった等の声もありましたが、東日本大震災以降の避難指示や勧告の出し方については国や地方自治体は検証を重ねており、結果として「空振りを恐れるな」という方針となり、しつこいぐらいに気象庁も注意喚起の記者会見を行いました。今回の台風10号では早々と新幹線の運休が決まり、コンビニ等の普段は休まないお店でも臨時休業を決める等々、社会活動や経済活動を止めることで、人の動きを抑制したため、これだけの被害で終わり、結果として空振りを恐れなかったことが多くの命を救ったのではないかと思います。

東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県釜石市には津波の被害を忘れない為、このような石碑が立っています「100回逃げて、100回来なくても、101回目も必ず逃げて」地震が発生しても、毎回津波が来るわけではなく、津波が来ても必ず大きな津波とは限りません。しかし、たった一度の大津波で命を落としてしまった人が大勢おり、警戒絶やさないことが重要だと言うことを伝えてくれています。

京都大学防災研究所の矢守教授は「空振り改めて素振り」と話しています。「空振り」して笑われたくないと考えるのではなく、将来に備えての「素振り」と考え、この「素振り」を繰り返すことが、自分と自分の家族を守ることに繋がると言います。

我々が住む根室も今後30年でM7.88.5程度の大きな地震が来る確立は80%程度と言われており、明日かもしれない将来には必ず大きな地震が発生し、その際には海に囲まれた根室は必ず津波が来てしまいます。我々が出来ることは災害に備え準備すること、小さな地震でもしっかりと情報を収集すること、避難の指示が出た場合には確実に従うことが、自分や家族を守るため重要になってきます。

100回逃げて、100回来なくても、101回目も必ず逃げて」災害に負けないためには人は繰り返す努力「素振り」を何回も重ねなければなりません。

                                            魚谷 直世 記

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