2023.3月号

 

 「卵が先か鶏が先か」

 

 令和5年も、2月に入りようやく体に馴染んできました。しかし、今年の2月は昨年10月に続くあらゆる商品の値上げラッシュとなっており、食品だけで5,000品目以上、日用品も値上げが多く、電気代も請求書を見てビックリしたという方も多いと思います。

 原因として昨年からの原材料価格の値上げ、人件費や物流コスト等の上昇から価格転嫁せざるをえないというのが実情となりますが、この2月に値上げが集中するのは、12月から1月は年末年始の需要期のため値上げが見送られ、3月から4月は新生活が始まる際に値上げすると、買い控えに繋がる可能性があるため、各社2月の値上げが丁度いいタイミングという思惑があるようです。

 長らく「物価の優等生」と言われた卵もウクライナ戦争の影響により飼料価格が高騰し鳥インフルエンザの流行により殺処分が増えた為、少し前までは1パック10個入り100円台で買えていた卵も今では1パック200円を軽く超える値段で売られています。

 これは日本だけでなく諸外国も同様で、米国では「エッグインフレーション」と言われるほど、物価高の象徴となっています。日本の食生活に欠かせない卵、実は日本は世界第2位の卵消費国で一人当たりの消費量は年間330個と、ほぼ毎日、我々は卵を食べており、冷蔵庫に卵置場があるのは日本の冷蔵庫だけと言うくらい卵は日常生活に欠かせないものです。

 「卵が先か、鶏が先か」鶏が食べる穀物、卵を梱包する資材、運搬する人と燃料、我々が普段何気なく食べている卵一個にはどれだけのコストが掛かっているのかを考えれば、いつまでも物価の優等生ではいられないし、コストに見合った対価を支払わなければなりません。

 しかし、世界人口はいつの間にか80億人を突破し、食料、飼料、燃料、材料、原料と身近にある全てが世界的な争奪戦となりつつあり、そしてそれは今後益々激化していきます。卵の高騰は、単に食費が高くなるというだけでなく、いよいよ我々を取り巻く食の環境が変わってきたというターニングポイントになるのかもしれません。

 資源の無い日本、土地も狭く、少子高齢化、人口減少が進む中で、未来を担う子孫たちが、明日食べるものがないという事態にならないためには、今が良ければいいのではなく、未来に何を残していくかが大事になってきます。

                                             魚谷 直世 記

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