2016.7月号

 

「徳を積む

 

「人生から返ってくるのは、いつかあなたが投げた球」精神科医の斎藤茂太氏の言葉で、私の好きな言葉の一つです。色々な団体に所属する中で、一つのメリットとして挙げられるのが、より多くの人との出会いがあるということです。人は本当に十人十色で長い付き合いの人でも、場所や環境が変わることで、その人の新しい一面を見ることが出来ます。そしてつくづく感じるのが、この冒頭の言葉で、良くも悪くも「言葉」だったり「行動」「行為」全てが、行った人に対し、自らに返ってくるというものです。どうせならば「良」の方を循環させたいものですが、どうしても「悪」の循環が多く見えてしまい、その「悪循環」の代表である「人の悪口」「イジメ」や「無視」これらの行為も不思議なほど自らに返ってくるのですが、この「悪循環」を自ら招いたものと改めることが出来る人は少ないように感じます。多くの宗教でも「徳を積む」という言葉があるように、運がいい人、ここぞという時にチャンスを掴む人というのは、日頃「徳を積む」努力をしているように感じます。どのような能力がある人でも、偉人と言われる、歴史に残る人になるにはやはり日頃の徳を積むことで運を味方にしなければなることは出来ないと思います。

メジャー三つ目の球団、マイアミ・マーリンズに移籍したイチロー氏も「小さいことを重ねることが、とんでもないところに行くただひとつの道」と語っていましたが、42歳となり、肉体のピークはとうに過ぎているはずが、今年は更に安打を量産し、本日6月14日の時点で日米通算安打4,255本と後1本でピート・ローズ氏の持つ4,256本の世界記録に並ぶことになります。今世紀中に破られることはないと言われたこの偉大な世界記録ですが、この記録を破ったのはやはりリアリストと言われるイチロー氏の小さなことの積み重ねではないかと思います。ただでさえ最近は暗いニュースが多く、不安定な天気もあって憂鬱な気分となりますが、久しぶりに爽快としたニュースとなりました。日本の景気のためにも、お腹の出てきた3040代青年層のためにもイチロー氏にはぜひ50歳まで現役で活躍してもらい、新たな記録を築き上げて頂きたいものです。私も小さなことからコツコツと今日から始めていきたいです。

                                                                                              魚谷 直世 記