2016.4月号

 

「身近な不況対策

  

 少し前に話題となった「マイナス金利」先日、ニュースを見ていた子供からこの話題について聞かれ、答えに困ってしまいました。今回のマイナス金利は日本銀行と各金融機関における金利の話であり、我々が利用する銀行の預金金利がマイナスになるものではないという説明ですが、経済全体の話になってしまうため、シンプルに説明をするというのは難しいのかもしれません。

 金融機関としては日本銀行にお金を預けても、お金が減ってしまうため、我々のような企業への貸出により金利収入を得るか、他の投資にお金を回すことになります。それにより企業から消費者へお金の循環が増えモノをどんどん買うようになり、高利回りの資産を求め、株にも買いが入るだろうし、海外に投資機会を求めることにより、円安をもたらせれば、輸出する大企業が儲かり、更なる景気回復の追い風になるだろうという、理論上は素晴らしい政策となります。

 しかし、実体経済はまだまだ実感はなく、私の周りでも、金利が安くなるから家を新築するという人は見ていません。特に我々のような地方都市に住む者にとっては、人口減少と少子高齢化の方が着実に実体経済に影響を及ぼしており、働き手もいなければ、売り手もいない、しかし銀行からお金は借りやすくなり、金利は安いとなれば、効率的な投資先として人口増加している都市への不動産投資に向かう可能性が高くなります。

 このお金の過剰な流動性は1990年代のバブル景気に状況が似ていますが、バブル時は物価の価値が上がるインフレ状態であり、現在の状況は年間2%の物価上昇を目標にしていますが、実質物価上昇率はほぼ0%であり、まだまだデフレ気分が蔓延している中、このマイナス金利政策の賛否は人により意見が分かれるところです。

 いずれにせよ人口減少の中、個人消費を拡大しお金の流通量を増やさなければ、景気は再び悪化する危険があります。そこで世の中の家計を握る奥様方にお願いしたいのは、身近に出来る不況対策として、ぜひ旦那様のお小遣いを上げてほしいということです。碌なことにお金を使わないとお思いかもしれませんが、家計には悪影響でも国にとっては必要な消費になるかもしれません。

                                            魚谷 直世 記