2013.8月号

「TPPの旗」

 

 先日研修にて札幌へ社員数名と車で行く機会がありました。各地農協の前を通るたびに、派手な色の「TPP反対」の旗が大きくでており、農協がいかにこの問題を大きく捉えているかを感じられますが、当の酪農家や農家の前を通っても、そのような旗を見ることはあまりありません。

 この国論を二分したTPP(環太平洋経済連携協定)日本の製品輸出が増加すると歓迎する人がいる一方、日本農業の壊滅、医療保険自由化で国保制度の崩壊等々、賛成反対どちらの主張も説得力を持っており、個人的には正直どちらがいいのかわかりません。毎日新聞の世論調査では「参加に賛成」が63%と賛成派が増えてきている印象を受けますが、安部政権への期待値ともとれます。

 長らく「鎖国状態」であった農政事業の改革。国民の支持を受けていた小泉政権時の郵政改革と共通する部分が多く、農協の金融・共済・経済事業を郵政3事業に見たて、分割することを提言しています。農協の資材購入や農産物販売等の経済事業は高コスト体質であり、金融・共済事業の利益によって本業の赤字補填を行っているとして、郵政と同じく3事業を切り離し不採算部門の整理する事を求めており、今回のTPP参加により改革実現の可能性が出てきました。

 TPP参加により我々の業界にどのような影響を受けるかは、まだまだ未知数はありますが、TPPのカギを握る米国は「シェールガス革命」が起こっており、電気1kwを作るコストが石油10円に対し、シェールガスは6円、更にCO2排出量は15%も少なく、そのためトウモロコシやサトウキビで造られるバイオエタノールが生産過剰になっているとのこと。アメリカで大増産したトウモロコシやサトウキビは食糧としてではなく、燃料として日本に上陸する日も遠くはないのではないでしょうか。「風が吹けば桶屋が儲かる」との言葉通り、各分野で様々な影響が良くも、悪くも派生して出てくる可能性があり「TPP」=悪か良かと単純には結論は出来ないと思います。「T」とっても「P」プラスな「P」プランになるかどうかは、その時流にのった方だけが恩恵を受けるのかもしれません。

                                             魚谷 直世 記