2013.5月号

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 ハインリッヒの法則をご存じでしょうか?1件の大きな事故の裏には、29件の軽微な事故があり、さらにその裏には300件の事故には至らなかったが危うく事故になりそうになった、ヒヤリハットした事象がある。

 元々この法則は、アメリカの工場で労働災害の統計から導き出されたものですが、労働災害でなくとも、日々の暮らしの中でも同じ割合で、問題は起こっているのではないかと思います。車の運転に例えると、普段からヒヤリとする運転をする人は小さな事故が多い傾向にあり、生死にかかわる大きな事故をおこす人は普段から車のトラブルをよくおこす人が多いとの傾向です。運転免許更新時に違反者講習が長時間行われるのは、交通違反の多い人は事故率が高いとの結果がでているからではないでしょうか。私自身、車関係の職業ながら、免許の更新講習は違反者講習しか受けたことがなく、時間に追われた時はスピードで時間を合わすこともあり、事故の心配は頭のスミに行ってしまいます。しかし、人が一年間に交通事故で負傷又は死亡する確率は全国で約0.7%となっています。これは免許証保持者全員を基準としているためぺーパードライバー等を抜き、事故率の高い北海道ドライバーを考慮すれば1%前後の交通事故負傷率、つまり100人を集めれば、その中の1人は事故で大小の負傷をするという予測ができます。この確率を少ないと見るか多いと見るかは人それぞれですが、一年間の数字であり、負傷事故なしを続けていくには、サイコロを振り「1」の目がでないことが続くように、30年間連続負傷事故なしの確率は約74%、40年間連続の場合は約67%と当然ながら減少していきます。事故は相手もいるので、完全に防ぐことは絶対に出来ません。しかし、事故の大きい小さいは普段の安全運転や、ヒヤリハットした経験から学び、事故の可能性を低くし、損害を小さくすることは出来るはずです。

 我々の生活にはなくてはならない「車」は使い方や考え方により危険にも安全にも使えるのです。昔、祖母からハサミの使い方を教わった時も同じことを言われた記憶があります。

                                             魚谷 直世 記