2013.3月号

「機械か人間か」


 先日、深夜に大きな地震があり全社員が緊急出勤となりました。大きな被害もなく12時頃には自宅待機となり、パジャマにエネオスのジャンパーを羽織ったまま小腹がすいたと近くの「すき家」で夜食を食べていたところ、昔読んだ新聞記事を思い出しました。

 2010年に牛丼チェーン店で発生した強盗事件(未遂も含む)は「すき家」で57件、「吉野家」で7件、「松屋」で0件。圧倒的に「すき家」が強盗の標的になっているとのことです。その理由として「すき家」は券売機による前払い方式ではなく、1つのレジによる集中精算方式のためと解説されていました。ちなみに「吉野家」もレジでの精算方式だが、カウンター数ヶ所で精算できるため、売上金が分散されており強盗にとって効率が悪いとのことです。当時インターネット上では「すき家」をターゲットにした「すき家強盗マニュアル」が出ており、インターネットが犯罪を助長していると問題にもなりました。このマニュアルによると「すき家」の弱点が解説されており、強盗件数0件の「松屋」は券売機による万全の体制と強盗からは避けられているとのこと。

 この「すき家」で強盗を減らすには券売機での精算方式を導入すればいいのではないかとも思いますが、全国で1,800店舗以上を構える「すき家」にとって、全店に券売機を導入となると機器代や管理費だけで大きな負担額となり、格安の牛丼価格にも影響がでるのではないかと思います。また、券売機を使う最大のデメリットはお客様と社員の会話が一切なくなってしまうことではないでしょうか。人が一生のうち食事をする回数というのは決まっています、限られた回数の食事の中で「ごちそうさま」も言わない、お腹を満たすだけの食事というのは少し寂しいなと感じます。

 この「機械か人間か」の構図は我々の業界で「セルフ」か「フル」かの構図にも似ていますが、私個人の当面の問題として言えるのは、この家業雑感が発刊されることで、ダイエット中のはずの私が深夜に牛丼を食べにいったという事実が妻にばれてしまうということなのですが・・・。

                                            魚谷 直世 記