2013.11月号
「おもてなし」
2020年の東京オリンピックが決定いたしました。中でも印象的なのが、滝川クリステルさんのフランス語スピーチの中で行われた「おもてなし」ではないでしょうか。この「おもてなし」を英単語にするなら「サービス」「ホスピタリティ」という単語になりますが、本当の意味はまったく違ってくると思います。
アメリカのディズニーランドでは訪れた人を現実に返してはいけないという配慮から、トイレに鏡を置いていません。しかし、細かい心配りがされていながらレストランでは従業員がサービスの対価としてお客様からチップを貰うのが当たり前であり、渡さなければ無用なトラブルにも発展する場合もあります。欧米流の「サービス」とは、あくまでお金で買うものであり、アングロサクソン的な身分制度、階級制度の名残を感じ我々日本人には違和感すら覚えてしまいます。
では、日本の場合「おもてなし」の意味とは「心を持って行為を成す」という言葉から「お持て成し」又は「表面ではなく本心から」との言葉で「表なし」と表され、お金や物の見返りを求めるものではなく日本人ならば当然の美徳として受け継がれてきました。しかし、近年この意識は薄れてきていると感じます。日本人は、場の雰囲気や他人の気分を読み取る、形のはっきりしない空気を感じる力が強いと言われていますが、一昔前に流行りました「KY=空気よめない」との言葉にあるとおり「気遣い」の出来ない人が増えています。この「気遣い」は、育ってきた環境が大きく影響するため、修正するのは難しく、気のきかない人に「気がきかない」と言える人も少ないと思います。周りの人が指摘することがなければ、本人が「気遣い」がないことに気づくチャンスもありません。この「気遣い」の出来る人になるには「掃除」が一番の訓練方法と言われています。毎日同じ所を掃除していると、汚れた場所や物が無い時に自然に気づくようになり「気遣いの力」が上がるとのことです。2020年のオリンピックまであと7年間、身近な場所から掃除して、日本の「おもてなし」の力を上げてみませんか。私の場合は友人からお前は「ろくでなし」だと言われましたが…
魚谷 直世 記